Mixed media
H1,160 × W2,450 × D150 mm (2024)
シリカ、アクリル塗料、ラッカースプレー、木材、発泡ウレタン、アルミ粉
Silica, acrylic paint, lacquer spray, wood,urethane foam, aluminum powder
「Graviternal」シリーズは重力をテーマにしています。重力は時間や空間など、人の認識を歪ませてしまい、また最近の研究では、次元と次元の間を行き来しているとも言われています。私はそうした存在と存在の間にあるもの「間(ま)」について思考しながら制作しています。日本語では距離や空間、時間やコミュニケーションなど様々な意味合いを含む特異な言葉です。作品はパネルに独自のシリカメディウム(ガラスの粉に塗料)を押し当てるようにして擦り付ける方法で描かれています。ライティングによってメディウムの煌めきや影の落ち方が変化し、画面の表情を自在に変えることができます。また押し当てる力の加減によって現れるイメージに変化が生まれるため、パネルとの間の距離感をコントロールするという意味で、制作方法としての「間(ま)」を表してもいます。
「KAGASEO/香香背男」(カガセオ、あるいはアメノカガセオ/天津甕星)は、日本神話の中でも特異な「星の神」であり、その性格は「反逆する神」「光を放つ異神」「太陽に抗う存在」として伝承されています。
本作はGraviternalシリーズの中でも、宇宙空間における重力をテーマにした最初の作品です。その力の筋の方向はこれまでの上下方向のみとは違って、四方八方に散らばるように描かれています。星の神であったり、岩に変化するなどの特徴から、宇宙空間におけるGraviternalのありようを考えた際に、とても親和性のある伝承だと感じました。おそらく大和朝廷と対立し平定された民族のオマージュと考えられていますが、単なる征服神話ではなく「古い星の神(カガセオ)の力を封じず、土地神として共存させた」ことを示唆していると言われています。この平定しつつもゆるやかな接続点や余白(バッファー)を保ちながら、新たな概念や社会性などを徐々に形作っていくあり方に、日本の文化形成の独自性を感じてそれらをなぞらえたタイトルとしました。
【香香背男のお話】
香香背男(カガセオ)は、星の神さまです。むかし、タケミカヅチとフツヌシが国を平定しようとしたとき、常陸の国で光り輝く巨人の神・カガセオが立ちはだかりました。とても強く、二柱の神でも倒せません。そこへ織物の神・タケハツチノミコトが助けに来て、力を合わせて戦い、ついにカガセオを打ち倒します。カガセオの体は岩となって三つに割れ、落ちた場所には清らかな泉がわき、人々はその水を大切にしました。のちにその地には神社が建てられ、カガセオの魂が宿る石(宿魂石)が祀られています。つまり、カガセオは星の神でありながら、土地を守る神として今も敬われているのです。
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Masaki
TANI
¥1,210,000Price
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