Mixed media
2024年
H650 × W260 × D120 mm
シリカ、アクリル塗料、エチレン酢酸ビニル、竹材、3Dプリンタ造形物
Silica, acrylic paint, ethylene vinyl acetate, bamboo, 3D printer model
「Surroundscape」シリーズは、建築現場などで見られる仮設足場のような機構に対する関心とフェティシズムを出発点とし、私と対象との距離感、すなわち「パースペクティブ」と、その狭間に生じる「間(ま)」をテーマに展開する作品群である。
本作において、完成された3D造形などのモチーフは単一の完成物としてではなく、それ自体が一つの素材、すなわち全体の構造を成立させる「仮設の支持体」として取り込まれている。その周囲を取り囲むように竹材や木材を組み上げる行為は、視覚的な空間の整理や構築であると同時に、内部にあるモチーフの形態を距離によって意図的に隠蔽・曖昧化させるフィルターの役割を果たす。
造形を構成する要素には、明確な概念的対比が組み込まれている。直線的に交差する竹材の縦軸と横軸は、数学的・視覚的に試算可能な規律や、古典的な遠近法(パースペクティブ)という人間が世界を把握するための規定を象徴している。一方で、竹材同士を接合する箇所に塗布された、着色したエチレン酢酸ビニルやシリカミリウム(ガラス粉末とアクリル塗料の不均一な混合物)は、そうした線形的な規定では捉えきれない、空間と空間の間に漂う不可視で有機的な存在を象徴している。
これら多様なマテリアルによってモチーフを重層的に「囲う」ことで、作品は鑑賞者の身体的アプローチに応じてその表情を劇的に変化させる。遠視点において鑑賞者は、内部のモチーフを直接視認することができず、竹材の構造やマテリアルの付着が創り出す全体的な外形(フォルム)として作品を認識する。しかし、物理的に作品へと歩み寄るにつれて、構造の隙間から内部に潜むモチーフの存在が立ち現れてくる。
この距離移動に伴う見え方の変容は、鑑賞者に対して「全体としての構造を見るのか、あるいは内部の対象を認識するのか」という視覚的な選択を迫り、自らの立ち位置によって捉え方が変化する知覚のプロセスを強く意識させる。日本語における「間」という言葉が、物理的な距離や空間の広がりだけでなく、時間の経過やコミュニケーションのあり方までをも内包する特異な概念であるように、本シリーズは鑑賞者と対象の間に存在する物理的・認知的距離感の揺らぎを可視化し、あらゆるものの存在が常に揺れ動く「仮設的な状態」にあることを提示している。
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Masaki
TANI
¥198,000Price
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