2026
h.50 w.50 d.50 mm
石粉粘土、アクリル塗料、偏光塗料
「もののけ」とは、もとは形を持たず、「うつしよ(現世)」と「かくりよ(隠世)」の境界に漂う気配や気そのものを指す言葉であった。
本シリーズにおける『Mononoke』とは、その捉えどころのない存在を、作家の「身体」と「物質」との対話によって現世へと引き留める試みである。
作品の始まりは、手のひらの中に置かれた一塊の粘土にある。
作家が緩やかに手を握り込むとき、そこには素材を圧倒・支配する力ではなく、互いの存在を確かめ合うような柔らかな圧力が生まれる。
粘土は手の意志に従いながらも、自らの物質的な反発や密度によって固有の輪郭を保とうとする。
この「抵抗」と「受容」が交錯する境界点——手のひらという極小の空間で生まれた有機的な歪みこそが、作品の原形となる。
固められたその形態は、削られ、磨き上げられるプロセスを経て、より洗練された輪郭と質感を纏っていく。
表面に立ち現れる深遠なグラデーションや光沢、あるいは粗い肌触りは、身体的な対話の記憶を純粋な「存在感」へと昇華させた証である。
手のひらの痕跡でありながら、一歩離れた瞬間から自律した気配を放ち始める立体。それは、物質と人間の身体が交わったその一瞬の境界にだけ立ち現れる、現代の「もののけ」である。
Mononoke 4
¥33,000価格
