2026
h.227 w.158 d.25 mm
アクリル塗料、モデリングペースト、木製パネル
『Nilline』は、「Nil(ニル/無)」と「line(ライン/線)」の関係性を探求する試みである。Nil はラテン語の「nihil(何もない)」を語源とする言葉で、一般的に「無」「ゼロ」「皆無」を意味する。
ここでのNilとは、次元や位置すら持たない純粋な虚空を指す。そこから突如現れる0次元の点は、すべてを内包する「一であり全」という有限の始まりである。本作は、この点から放たれる幅を持たない1次元の線が集積し、画面上に「存在感」を現出させる無と有の幾何学を提示する。
表現の核となるのは、古今東西の美術史における「放射状の集中線」の文脈だ。第一に、東洋の仏像の光背や西洋バロック彫刻に見られる「不可視の聖性やエネルギーの可視化」における線の表現。第二に、ルネサンス遠近法の「消失点」を、光を吸い込むNilの深淵でありながら新たな存在を放つ「創世の起点」へと逆転させる試み。第三に、現代の漫画表現における衝撃や速度、エネルギーなどを可視化する「記号性」の統合である。
これら歴史的・現代的な要素が銀色の質感の上に交錯し、時間とエネルギーが一点にフリーズされた「永遠の今」が立ち現れる。次元を持たないNilから「一」が生まれ、線が交わることで「有」へと至るプロセスそのものが『Nilline』である。
Nilline
¥55,000価格
